黒髪の乙女
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/11/29
- メディア: 単行本
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すっっごい、ローカルな話を絡めながら展開する天然系黒髪乙女(18)とストーカー男(21)の話。年齢は本文からの推定です。
一目惚れしてしまったストーカー男と、天然系黒髪乙女の視点を交互に交えながら話は進む。
舞台を先斗町、下鴨神社、K大と移しながら。ローカルな点で心地よさを感じることができて、
本文中で出て来た店で呑んだこともある僕は大分想像して読むことができた。
非凡な希代の監督に映像化させたら、面白いんちゃうか、映像化したらこんな
感じか?黒髪乙女の役に相応しい女の子はいるか?と脳内サーチかけながら読んでました。
多分京都に住んだことがなくても面白いよ。
そして、予め言っておくけれど、こういう人は実際にいるもんなんです。
いなそうな不思議な人々が出てきますが、本文でパトロン的役を占める李白翁は知らんが、それ以外の
人々は実際にいそう。
再会を願い、パンツを履き替えないことを吉田神社に誓ったパンツ番長とか、パンツつながりで言えば、
夢精をする度にそのパンツを捨てずにビニールに取っておく男が居ることを鑑みれば実際にいそうじゃない。
多分ね、ストーカー男が黒髪天然乙女に一目惚れしたのって、ただ外見が美しかったからじゃないんだよね。
彼女が醸し出す雰囲気に惹かれたんだと思う。それは外面と内面のせめぎ合うところ。齢18にして、
そんなオーラを醸し出す彼女は、実際に変だ。
底抜けに酒が強くて、ビスコが好きで、記憶力が良くて、鈍感で、いつのまにか主役になっていて、
美味しそうな玉子酒を作る。
作者はK大農学部出身。知人のS氏を彷彿とさせる。
共感するというか、なんか忘れかけてた京都の変な一面を思い出させる本でした。