ベオグラードの建築話

ほとんど建築関係の話を書いていなかったので、今日は建築の話を一つ。
ここベオグラードは建築ラッシュというのか、駅前のスラヴィヤ広場へ通じる道が全面改修されていたり、
新市街を含め、新しい建物がどんどん建っていってます。基本的にはRCのフレームに焼煉瓦みたいな、断面形状が
蓮根のようなブロックを組造して壁を作るという感じで、そこに、仕上げとして床材や壁材をペタペタ貼ったら出来上がり、、
というような工程で作られている建築物がほとんど。はっきり言って日本では考えられないような耐震基準だったり、
施工基準も軒並み低いと思う。始め来たときは、なんだかごちゃごちゃして黒ずんでいてまあきれいな建物もあるけれど、
そんなに美しい街ではないなあ、と思った。イスラム都市のごっちゃ感が混じったような感じ。で、ここで生活するにつれて
日々建物を観察とかしているんだけれど、20世紀代のモダニズム前後の建築は置いておいて(それでも珠玉な建築は
ほとんど見つからない、あ、日本のメタボリズムの影響が見られる建築は発見して面白かった)、現代建築は非常に大味。
旧ユーゴ時代のカチカチ建築が新市街にいくといくらでも見つけられるけれど、旧市街にも、点々とカチカチ建築が点在している
対称なデザインをちょっと’外す’という発想があまりないのか、新しいデザインに挑戦する経済的余裕がなく既存の施工法で
簡単に作れる物しかつくらないのか・・。不思議なほどに、上質の現代建築(これは定義が難しいので、イメージとして)は
なかなか見つからない。同じような経済状況のルーマニアにはもっと面白い現代建築があったけれど、ベオグラードは現代建築を
見る街としてはあまり面白くないかもしれない。(ただ、ルーマニアの街並の方が発展のスピード感が感じられたから、一概に
比較はできないのだけれど)どんな国にもいいクライアントがいて、底々現代建築の試行が見られると思うんだけど、
インド人に聞いても、ルーマニアの子に聞いても、自分で考えても、この街の現代建築は芳しくない。


いま働いている事務所でも、驚くべきことに模型を作ってスタディーしない。何人かの中年の設計士が
ちょこちょこっと紙に書いて、そこから図面を書き出していて
いつのまにか施工されていたり、他の若手もチームを組んでやっているとはいうけれど、
ほとんどの時間を各々のデスクワークに費やして、設計物について話し合っている様子は
ほとんど見られない。分業的にサクサクと仕事をこなしていく様は、他のセルビアの会社に比べて
熱心に働いているように思われるけれどなんだかハウスメーカーが延々と同じ工法とデザインで同じ建築を
量産しているような感じ。なんだか、という感じですが・・・。